「必殺技がほしい」


雲もなく綺麗な秋晴れとなった日曜日の午後。


リビングでまったり過ごしていると、隣に座る希美がそんなことを言い出した。



「必殺技?」



最初の頃に比べると、希美の突拍子のないびっくり発言への耐性はかなり高くなったはずだが、こうも唐突で不思議なものだといまだに上手い対応ができない。



「だってさ、かっこいいじゃん。大抵のバトルアニメにも漫画にもゲームにも絶対にあるよ?」


「それはアニメであり漫画でありゲームだからなー。現実には難しいと思うぞー」



今テレビで流れているアニメの歌に触発されたわけか。


懐かしのアニソンベスト50には、俺も小さい頃見ていたものがちらほら。

懐かしいなーなんて適当に流し見してたが、希美はそうでもなかったらしい。



「でもさ、人間には誰にでも気があるんだよ?それを上手く使えてないだけだから頑張ればいけると思うんだ」


「それな、みんなが小学校くらいで卒業してくる道だぞ」


「気が無理ならオーラだね。水見式やってみたい」


「やっても何も起きないから。何も起きなくてなにやってんだ自分ってなった時が1番恥ずかしいぞ。」