あたしの言葉に、呆れたように息を吐く要。


こいつはいつまでたってもあたしのこと馬鹿にしてるよなー




「あ、そうだ、おめでと」

「ん?なにが?」


「…結婚するってなってから、直接言ってなかった気がしたから」


「あー、そっか。前話したのも電話だったか」


「結婚するんだな」


「そーいうことになりましたね」



席に座ってメニューに目を走らせながら、何気無く始まった会話。



「なに?もしかしてあたしが人妻になるのが寂しいとか思ってる?」



ニヤニヤしながら顔を上げると、思っていた以上に真面目な顔の要がいた。




「あ、今は真面目な場面です?」



「…はぁー、お前な、真面目な場面なのかなって思うんなら口に出して確認すんなよ!その一言のせいで真面目な空気ぶち壊しですよ」



ですよねー。


大きなため息と共にテーブルに崩れた要くんにホッと一息。


要の真面目な話は、きっとあたしを困らせるものだ。

だから、悪いけどあんまり聞きたくない。



「あーもう…お前本当に変わりないってか歪みないよな。」


「まぁそう簡単に変わってたまるかって話っすよ」



そこからは、いつも通りのくだらないやり取り。


高校のときと同じ空気、同じテンション。

あたしたちにはこのテンションが一番合ってる。