話し始めるきっかけを与えれば、いつもは笑顔を浮かべる口が重く開かれた。



「この人さ、死んじゃったわけじゃん?それでこんなに騒がれるのはやっぱりこの人が有名だからでしょ?」


「そうだろうね。」


「でもさ、この人の命と、いじめで自殺しちゃった子の命と、戦争で亡くなった人の命と、誰にも気付かれず孤独死しちゃった人の命と、地震で亡くなった人たちの命と、どれも一つの命っていう点では同じじゃん?」


「そうだね。」


「これ見てたら、なんか命にもランキングがあるみたいで胸糞悪くなった。

有名ならみんなに惜しまれて大々的に扱うけど、地震とか戦争はただ何人が死亡しましたって出されるだけで、孤独死とか自殺だとあーあって感じでただの一つの事件みたいに扱われるのって、変だ。」


「そうかもね。
有名な人は有名な分たくさんの人がその死を嘆くかもしれない。

でも、孤独死でも自殺でも、その人の周りの人は充分に惜しんでくれるはずだよ?」


「…でもやっぱりメディアの命の扱い方はおかしいよ。これじゃ、亡くなった人も周りの人も報われない気がする。」


「希美はさ、自分の大好きな有名人がもし亡くなったら、その死を悲しみたいでしょ?そしたらやっぱりテレビの報道が必要なんじゃない?」


「…そうか…うーん、でもやっぱりなんか違う!やだ。」