「すいませーん、お会計をお願いします。」
先ほどまで座ってお喋りをしてた女性客がレジ前にいた。財布からお札を取り出し、こちらを見ている。
「あっ、すいませ~ん!」
と、ジンさんは慌ててレジに向かった。
気付けば、ここに来て40分が経とうとしていた。
「ありがとうございました~!」
"カランコロン"とベルが鳴る。
女性客が帰ったのを見届けると、ジンさんは私の方に向き直った。
「遅くなっちゃったね、ゴメンね。
バリアの件は任せて、理亜ちゃんはもう帰りな。レオが心配してると思うよー。」
「は、はい。」
「今日はありがとね、気をつけて帰ってね。」
深刻な問題だとさっきまで話していたはずなのに、途中まででも送ってくれないのか…。
まぁ、ジンさんらしいといえばジンさんらしい。
少しの付き合いだけど、何となくジンさんの性格が見えてきた気がした。
ジンさんの相変わらずの笑顔に見送られ、私は家に向かった。


