「まぁ、単純にいえばね。」
と、ジンさんは冗談でも言ったかのようにニコッと笑った。
ジンさんは笑ってくれているけど、私は今まさに深刻な状況であるということが身に染み始めてきた。
身震いがする。
「…影に私が、…女神が取り込まれないために、レオは私を守ってくれてるんですね。…私が負けちゃったら、世界が崩壊してしまうと、前にレオが話していたんです。」
「まぁ、そうだね。まだ君の力は十分じゃないからね。だって命を分裂させることも出来ないんでしょ?」
「……。」
自分はまだ未熟だから、そう言われても文句は言えないけど…、
そんな言い方って…。
私は女神の生まれ変わりというだけで、何も出来ない自分が悔しくなった。
「ごめんね、ちょっと意地悪だったね。」
気持ちが表情に出ていたのか、私の顔を見てジンさんは苦笑いした。
「でも、レオが理亜ちゃんを守る理由はそれだけじゃないよ。」
私は思わず顔を上げた。
それだけじゃない、って…。
どういう意味?
他にも何か理由があるの?
滅多に気持ちを表に出さないレオの姿が脳裏に浮かんだ。
どんな気持ちで、レオは私を守ってくれているの?
「やっぱりレオくんに怒られちゃうから、それ以上は秘密☆」
「え~…!」
理由がものすごく気になったが、ジンさんはペロリと舌を出して口を閉ざした。
ジンさんって本当よく分からない人だ…と改めて思った。


