ゆらりと動いたその影がゆっくりと大きくなっていく。
それが人一人くらいの大きさになった時、私の視線に気付いたのか、その影が私の方へ近寄ってくる。


言いようのない恐怖に声の出し方を忘れてしまった。逃げたくても両足は地面にくっついてしまったかのように動かない。





すると、

その影と私との距離が2メートルとなった時、空から真っ白な羽がふわりと落ちてきた。


鳥にしては大きすぎる羽。



その羽に気を捉えられた一瞬の間、突然目の前に純白の羽を持ち合わせた人間が現れたのだった。


「こんなところにいたか。」

その人は…いや天使とでもいうべきか?一言そう呟くと、その影から私を守るように、私と影との間に降り立った。



その天使が何やら呪文のような言葉を呟くと、みるみるうちにその影が小さくなっていく。

"ジジジ…"と電磁波のような音をたてている影は何やら苦しんでいるようにも見えた。