生命にはタイムリミットがあり、永遠は存在しない。

 寿命や運命に差はあれど、この身体はやがて尽きる日が来る。

 どんなにもがいても、時の流れには逆らえない。


 あと何年生きられるのだろう? 

 考えてもわからない。


 だからこそ、今を精一杯生きて、精一杯恋をして、精一杯愛されよう。

 不満足な日常を時に嘆きながらも、今を精一杯生きて、精一杯恋をして、精一杯愛されよう。


 人生という方位磁石が荒波や樹海で壊れたとしても、精一杯生きていれば、東西南北、恋する人の元へ、東西南北、愛する人の元へ辿り着ける。

 まだピンク色だった学生の頃の恋。そんな純粋な恋はもう要らない。

 一度蜜を纏ったら艶やかなその刺激に後戻りできないという事を知ってしまったから。

 大人の恋には愛がある。


 愛は生きてきた証。


 何千万回抱き合ってもただ抱き合うだけじゃ足りない。

 隠し持った秘密でさえも密着するほど絡み合い、楓の樹液のような蜜を纏う。


 心は密で身体は蜜。



 命ある限り、命と共に滴り堕ちる大人の恋……。






【密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋*END】