私の視線に気付いたのか、廻先輩がこちらを振り返り「おう」と言いながら微笑んだ。 跳ねた茶色い髪。 華奢だけどごつごつした肩。 少し吊り上がった目。 それらを愛撫して良いのは、近くで見つめ続けた私じゃない。 「入って来ねぇの?」 中に入ると、油絵の具の匂いがふわりと鼻をついた。 「先輩」 「うーん?」 「どうしてカヤさんだったんですか?」 色んな私の想いは漏れず。 意外にも声は淡々としていた。 .