黒白世界


思わず奥歯をギリッと鳴らし、舌打ちしそうになるのを堪える。

冷や汗がタラリと背中をつたう。


「あはは、動揺してますねえ。でも、動揺してるってことはイコール、肯定ってことなんですよ~?

ナツメちゃん。最後の最期くらい本音、言ってみたらどうです」


「っ……」


ニタァと口角を上げて近づいてくるソレ。

気づけば、手を伸ばせば届く範囲にまで奴は近づいてきていた。



「っ、へえ。きみ、目がいいね。パッと見だけで嘘がわかるんだ。でもダメ、【ナツメ】は消えてもいいけど【捺芽】だけは死なせないから」


「あはは、どういう意味ですかソレ。……って、聞きたいところなんですけどねえ。

もう死ぬ人に聞いても意味ないか」


「え、」



もう死ぬ?
それって一体、…。

目の前にいる金髪男児の言っている意味がよくわからない。

わからないからこそ、少し。本当に少しだけ興味が出た。



「ねえ、あんたダレ」

「僕?僕ですか。僕はですねえ、俗にいうアレです。魂の回収屋というか。

あ、死神です」


………。


「あ、ハジメマシテ」

「こちらこそ~」


………。


「……って、え?」


今なんて?