冷血男子がデレを出すまで


「あの..裕樹くん、さっきチャイム鳴りましたよ???」


他の龍成ファンクラブの子達はチャイムが鳴ったから、自分の席に戻ったのに



裕樹くんはまだ龍成の隣に居る。

そんなに近くに居たいのかなぁ、だなんて思ってみたり。


「あああっ!!そうだそうだ忘れてた さんきゅー憂紗ちゃん」


バタバタと音をたてて物凄い速さで自分の席に戻る裕樹くん。
足はや...。


そんな呑気な考え事をしているのもつかの間、



「はあ...」


隣から盛大なため息が、


龍成だ。

勇気をだせ、勇気を...
ママが言っていたように
あたし、一歩踏み出してみよう


「裕樹くんって足速いねっ、...あたしビックリしちゃった。龍成すごい良い友達いるんだねっ」


いつもより少し笑顔で、さりげなく そして自然に話しかける。



「‥‥‥‥‥。」


龍成は私をチラッと横目でみて、自分の机に視線を戻した。





え?、もしかして無視されたのかな。
そう思考回路を停止させてると
なにやら席の前例からクスクスという、小さな笑い声が聞こえてくる