「それしか無いもん」
「はあー、私がガツンと言ってやろうか?"ソコは憂紗の席だ"って」
今にも席から立ち上がりそうな、気の強い彩芽ちゃん。
「い、いいよっ!遠慮します!だってチャイムまでだもん我慢できる..」
「チキン憂紗!!!..まぁいいわ。そんなチキン憂紗が私は可愛いと思ってるからねえ」
そう言って、今度は優しく私の頭を撫でる。
「チキンチキンって..」
――キーンコーンカーンコーン
学校のチャイムが鳴ると
女子達が一斉に自分の席に戻り出す。
「じゃあねっ!龍成くん」
語尾には必ずハートマークがついている。
女子の皆がキラキラしている…。
やっと..席に戻れます。
そう安堵し自分の席に着席する。
「憂紗ちゃんじゃん、いやー毎朝ごめんね?女子がいるから自分の席につけないでしょ?」
そう話しかけてきたのは、髪色がミルクティー色の
篠山 裕樹 [ササヤマ ユウキ] くん
龍成と良く一緒にいる、お友達。
接点が無い篠山くんと私だけど、こうして少しでも私の事を気にかけてくれるから、あまり悪い人では無い。と私は勝手に決めつける
「いえ!大丈夫です、気にかけて下さりありがとうございます..篠山くん」
慣れない人の名前を呼ぶのは、はずかしいけれども、せっかく話しかけてくれたのだからと、少し勇気をだしてみる。
