吹けるようになればいいけど……。
「あ、そうだ。
明日草太くんとこにお稲りさん持って行ってあげようかね~」
「それいいね!!草太喜ぶよきっと」
お稲りさんは、草太の大好物。
子供のころから、遠足や運動会などには必ずお稲りさんが入っていて、試合の前日にもカツとお稲りさんは必ず食べていた。
「明日草太ん家行く時、あたしもついて行くから」
そう言って、あたしは選んだ布と裁縫道具を持って、2階の自分の部屋に戻る。
青の生地に赤い小さな花柄の布を選んだけど、これで何が作れるだろう。
ミナみたいに可愛く野球ボール作ろうと思ってたのにな……。
野球ボールの方が、野球バカの草太にピッタリだし。
う~ん……。
あたしは考えあぐねた結果、普通の長方形のお守りを作ることにした。
ミシンはないので、不器用な手つきで縫って行く。
「いたっ!!」
針で指をさして、すぐに口にくわえる。
とりあえず刺した部分を強く握り、目を瞑る。
痛い痛い痛い痛い痛い!!
小さくプツンと出来た血の山。