言われてみれば、確かにそうだったかも……。
ベットの中でイメトレしてると、ステージに上がるのがワクワクして眠れなかったっけ。
「まぁ、この緊張感、俺嫌いじゃないな」
草太がニヒっと笑う。
「やっぱ緊張してんじゃん」
あたしがすかさず言うと、草太は「ちっがう」と反論に力が入っていた。
わかってるよ、草太。
草太の言う『緊張』っていうのは、ガクガク震える緊張じゃないってことくらい。
今から始まる自分の挑戦に、ワクワクドキドキして胸が高鳴る幸せな緊張だよね?
あたしにもあったから、よくわかる。
「草太。
試合前のランニングはいいけど、ケガはしないでよ?」
「するかよ。心配すんな」
草太に鼻で笑われ、あたしは微笑みながら頷いた。