「おまえ、これやるなら毎日続けろよ。じゃなきゃ意味ないからな」


三日坊主癖があるあたしに、草太が激しく息をしながらハハハと笑う。


「分かってるよ」


あたしも、息を整えながらハハハと笑う。


「明後日、試合だね」


体を真っ直ぐに直して言うと、草太はタオルで首元の汗を拭いて頷いた。


「緊張してる?」


「まさか」


草太の頬笑みが、ウチの玄関のオレンジ色の街灯にやんわり照らされる。


「今までやってきたことをするだけ。
別に緊張なんてしねぇよ」


「とか言って前日眠れないくせに」


あたしが嫌みったらしく言うと、草太はあたしの足を踏みつけようとしてきた。


だけど、サッと反応して足をどける。


「前日は試合の興奮で眠れないだけ」


「はいはい」


「いや、これマジだって。
おまえもそうだっただろ?中学ん時。コンクール前って興奮しない?」