「まぁ、今日初日じゃん。最初なんてそんなもんそんなもん」


明らかに適当に言われてる気がして、あたしは草太の側に行ってすねを蹴ってやった。


「いってぇぇぇ!!
なにすんだよ、アホ希歩が!!」


草太が痛さにピョコピョコ跳ねながら顔を歪める。


「うっさい野球バカ」


子供の喧嘩のように、あたしはイーっと前を出す。


「俺にも蹴らせろ」


草太があたしのすねを蹴り返そうとしてきたので、あたしはケラケラ笑いながら走って逃げた。


「待てよ!!
こういう時だけ足速いよな、おまえ!!」


後ろから草太が叫びながら追いかけてくる。


「なんのこと~?」


きゃぁ!!と声を上げて走っても、ふざけているせいか苦しくなく走れて自分でも驚いた。


そのまま、草太と約30分程近所を走って自分家に戻ってきた。


さすがにふたりとも息が上がり息遣いが激しくなる。


「きっつ……」


草太が辛そうに腰に手を当てる。


「あたし、こんなに走るつもりじゃなかったのに」


あたしも顔を歪めて言いながら腰に手を当てた。