あたし達は暗闇の中、街灯に照らされた住宅街を走る。
あたし、本当に体力落ちてたんだ。
最近体育も真面目に受けていなかったし、自分で思っていた以上に体力がなくて驚いた。
「おい……。まだ5分も走ってねぇじゃん」
走り始めてすぐに膝に手をついて立ち止まったあたしを、草太が少し先で眉を寄せて振り返る。
「だ、だって、もう、息が……」
ハァハァと苦しく呼吸をすると、草太は機嫌悪そうに首を捻った。
「どんだけ体力ないんだよ。バテるの早過ぎだろ」
呆れて笑う草太。
あたしは肩で息をしながら余裕な表情の草太を睨み、首に巻いたタオルで額を拭う。
草太め……めっちゃ悔しい。
あたしは体を起こしてまた走りを続ける。
……が、また5分もしないうちに膝に手をついた。
「急にやったってダメだって。地道にやっていかんと」
あたしが立ち止まって休憩をしている間に、草太は軽くストレッチを始める。
「それ、明日筋肉痛で泣くな。絶対」
ウシシと草太が笑う。
「あ~もう!!どうしてこんなに走れないんだろう」
唸りながら項垂れると、ポニーテールの毛先が首の後ろにチクチクと刺さった。