あたしは、4つ斜め前に並ぶ草太の背中に目を向けた。
だるいのか、校長の長話の途中何度も足の重心を変え、隣の男子とたまにちょっかい出しあって笑ったりしてる。
中1の時にした草太との約束。
守りたいと思う反面、またトランペットを握ることに怖さを感じてしまう。
これも、あたしの変なプライドのせい?
一日降り続いた雨は、放課後になっても空は晴れなかった。
教室の窓から見上げた空には、灰色の分厚い雲がかかっていて風も強い。
「あ~あ、試合近いっていうのに雨とか最悪」
あたしの席に来て窓から空を見上げるミナ。
「今日野球部練習どうするの?」
教科書や筆箱をスクールバックに詰めながらミナに聞く。
「体育館でランニングとかかな~。あ~もう!!時間がないって言うのに」
そう言って、ミナが盛大にため息をつく。