わき腹の弱い草太が「ダッハ!!」と笑いながらよろける。
「ガキかおまえ!!やめろ」
「うわっ!!」
仕返しにと、草太があたしの首の後ろに手を当てる。
首を縮めて草太を睨みつけると、草太はケラケラ笑いながら自転車にまたがってシャーっと走らせた。
「じゃぁな、また明日!!」
アスファルトに車輪が軽快にこすれる音に混じって、草太の声が響く。
あたしは暗闇に消えていくユニフォーム姿の草太の背中に、ヒラヒラと手を振った。
あたしの大好きなトランペットで草太の応援、か……。
ここで、約束したんだよなぁ……。
叶えなきゃ、ね……。
陵雅さんの最後の試合。
今年こそは甲子園に行けるように、あたしだって全力で応援したい。
応援したいんだよ……。