キミの背中。~届け、ラスト一球~



6月中旬の生ぬるい風が、あたしと草太の前髪をジメジメと揺らす。


『あたし、いつか甲子園でトランペット吹いてみたいんだよね』


いつだったか、草太にそう言ったことがある。


『甲子園行くのが草太の夢でしょ?だから、その夢が叶った時、あたしの大好きなトランペットを吹いてお祝いしてあげたいんだよね』


『いいね、それ。約束だぞ』


あの日も、今日みたいに蒸し暑い夏の日だった。


この駐車場のブロックで、今より少し幼いあたし達の約束。


あの頃は普通に叶うことだと思っていたのに、今ではもう叶う気すらしない。


「中1ん時の約束。おまえ覚えてる?」


ああ、中1だったんだ。


「……うん」


「あれ、俺らまだ叶えてねぇじゃん」


「……うん」


小さく頷きながら下を俯く。


「おまえ、それ叶えないといけないんじゃない?」


「え?」


草太を見ると、草太は大きく息を吐いてグっと夜空を見上げた。