『必勝!!がんばれ 野球バカ』
それを見て、あたしはアハハと顔を歪めて笑った。
「まぁ、嬉しかったけど」
草太は珍しく鼻の頭をかくと、また大きく息を吐いた。
「おまえから貰うものは、いつだって俺は嬉しかった。ずっと好きだったから」
「……草太」
「何度も思ったよ。兄さんじゃなくて俺を見ろって」
「………」
草太が「俺、性格悪いだろ?」と鼻で笑う。
「でも、俺、今超幸せかな」
ドクン……っ!!
鼓動が高鳴る。
街灯に照らされる草太の表情、なんて柔らかいんだろう。
カッコよくて、心臓が壊れそう。
「草太。ごめんね?ずっと草太の気持ちに気づかなくて……」
「………」
「今は、草太一筋だから」
「………」
「草太しか見えないし、もう草太しか好きにならないか……」
最後まで言い終わらないうちに、あたしは草太に抱きしめられた。