「もう前みたいに、草太と気軽に話せない自分がいたの!!これが何なのかずっとわからなくて、ずっと考えてたけど……」
あたしが声に詰まると、また草太がギュッと抱きしめてきた。
あたしは子供のように声を上げてなく。
「草太~……」
あたしが泣き叫ぶと、草太の手があたしの背中をさすった。
「希歩。いいから深呼吸して」
草太に言われて、あたしは草太の腕の中で大きく息を吸う。
ゆっくりと嗚咽が落ち着いてきて、普通の呼吸に戻った。
草太の温もりが、とても優しい。
「落ちついた?」
あたしは一回深く頷く。
「じゃあ、言って?」
「………」
「俺の耳元で、おまえの気持ち」
普段、草太はこんなに積極的に言うタイプじゃないのに。
これ系の話しになったら、あたしから顔をそむけて話題を変えてくるのに……。
今日の草太は、何だか変……。
だから、あたしも今日は変になるんだ。
「草太……」
「……ん?」
耳元で聞く草太の声は、なんて柔らかいんだろう。