草太の優しい指が、あたしの目元の涙を拭った。
本番前とは違う緊張が、あたしの全身に走り震えが来る。
加速する鼓動で酸欠状態になり、目の前がクラクラした。
草太の指が触れた目元が熱くなり、とうとう、自分の気持ちに気づいてしまった。
あたし……
好きなんだ、草太のこと……。
草太の指が触れて、こんなにも体が喜んでる。
もう、草太と普通に接することが出来ない。
草太の声やしぐさに、いちいち心臓が反応して苦しくなる。
草太がカッコよくて眩しくて、草太を見つめたまま、身動きが取れなくなった。
高校2年、文化祭。
今までずっと幼なじみだった草太が、急に男に見えた。
ううん。
急にじゃない。
思い当たる節はいくつかあった。
あたし、だいぶ前から、草太のことが好きだったんだ。