音楽って、本当に素晴らしい。


たくさんの人を感動させられるし、ひとつになれる。


音楽、あのままやめてなくて本当によかった。


体育館の外に出ると、ミナや草太や野球部員達が待っていた。


あたしは達成感と恥ずかしさ半分とで、複雑な気持ちで草太達に近寄る。


「希歩!もう最高だったよ!感動した!涙がとまらなくなっちゃった……」


ミナが涙するので、またあたしの頬にも涙が溢れる。


「ありがとう、ミナ。
横断幕、すごく感動した」


詰まる声で言うと、ミナは涙を拭いて首を振りながら口角を上げた。


「希歩、本当によく頑張ったね。
希歩がトランペット吹いてる姿、超カッコよくて惚れそうになった」


涙でぐちゃぐちゃになる顔でミナが言ってくるので、あたしもぐちゃぐちゃの顔で「やめてよ~」と笑った。


「お疲れ」


静かに言う草太が、あたしの目の前に来る。


あたしは唇を噛みながら、腫れる目で微笑む。


「やるじゃん」


「まぁね、実力」


強がってクールに言うと、草太がフっと笑う。


「泣き顔で、何言ってんだよ」


ドクン……っ!!