「いらっしゃいませ~」
タイミング良くお客さんが入ってきて、あたしは気を紛らわせるためにすぐに接客に入った。
小さなメモ帳を持って、注文を聞きに行く。
次から次に入ってくるお客さんに、あたしは忙しく動き回った。
そうしていないと、草太が視界に入ってきて落ちつかないから……。
ひとり入ってくると、すぐに教室はたくさんの人でに賑わった。
バイト経験のないあたしは、注文を聞くだけで精一杯。
手際の良い子達が飲み物を作ってくれるけど、それでも間に合わなくなりあたしも手伝いに入る。
焦れば焦れるほど作業が鈍くなり、あたしは全神経を飲み物作りに集中させた。
「お待たせしました~。どうぞ~」
教室の入り口で呼びこみをしていた草太が、廊下に並んでいた他校の女子生徒を教室に入れる。
「あ!もしかして、湯野くん、ですか?」
ピクリ。
必死に飲み物を作りながらも、耳が反応してしまう。
あたしは作業の手は止めずに、耳だけを傾けた。
「え、あ、はい」
草太は無愛想に返事をする。



