キミの背中。~届け、ラスト一球~



そう言って、ミナはカンガルーの前ポケットをごそごそとまさぐり始めた。


「はい。希歩はこれ付けてね」


ポケットから出てきたのは、カクレクマノミと小さな魚が2匹付いたカチューシャだった。


「何これ、可愛い」


早速カチューシャを付けると、あたしが動く度に2匹の小さな魚がブルブルと近づいたり離れたりした。


「今日は小さな子供たちも来るかなと思ってさ。少しでも可愛い方がお客さん入ってくれそうでしょ?」


「そうだね!!」


ふと教室を見回すと、何人かのクラスメイトも動物になっていた。


馬の顔のマスクを着けていたり、牛、アヒル、猫、亀の着ぐるみを着ている。


まるで動物園のようになっていて、他にはない楽しい雰囲気が嫌いじゃなかった。


馬のマスクを付けている男子はよく前が見えていないのか、しょっちゅう机にぶつかり周りから笑いが起きている。


フラフラとこちらに歩いてきて、また椅子に引っ掛かり、あたしの方に倒れてきた。


「うわ!!」


ぶつかると思って咄嗟に目を閉じたけど……。


何も起こらなかった。


恐る恐る、目を開けてみる。