裁縫の苦手な草太が、これを真剣な顔で悪戦苦闘しながら縫ってくれたんだと思うと、思わず笑みがこぼれた。
ギュっとお守りを握り、スカートのポケットにしまう。
あたし達は、朝の少ない時間に何度か音を合わせて練習をした。
8人のタイミングも揃ってるし、演奏に不安に思うところもない。
いい感じに仕上がってると思う。
体育館での発表の時間は、14時だ。
文化祭開始の花火が上がり、ポップな音楽と共に一気に学校中が賑やかになった。
一般の人も出入り可能な文化祭は、他校生もたくさん来ていてそれぞれのクラスの出し物を楽しんでいる。
あたしは朝練で少し出遅れてしまったけど、クラスの喫茶店を手伝う為に教室へ急いだ。
喫茶店が賑わうのは、少し時間がたってからだろう。
歩き疲れた人達が、ここへ休憩しに来るはずだ。
それまでに、あたしは今まで準備に参加できなかった分、他の人以上に働こうと思った。
そう言えば、草太とミナの姿が見当たらないけど、ふたりともどこに行ったんだろう。
なんか他にも準備することがあったのかな……。
あたしはひとりでいる心寂しさを感じながらも、メニューを覚えたり飲み物の作り方を教えてもらったりした。