「……え」


目を丸めて草太を見ると、草太はお守りをクールに顎で指した。


「おまえにやる」


ぶっきら棒な草太の声。


「……え?」


「明日、本番だろ?だから」


「……え?」


固まる頭は何一つ働かず、同じ言葉しか出てこない。


「これ、草太が作ったの?」


「あー、まぁ、一応」


口を尖らせて言う草太は、更にグイっとお守りをあたしに差し出してきた。


それを受け取ると、でこぼこと歪な形で少し重さがあった。


紫のフェルトで作られたお守りには、『がんばれ』と下手くそな刺繍がされていて心がほっこりなる。


「下手くそとか言うなよ」


「下手くそ」


「だから言うなって!!」


草太がムキになって言い返してくる。


草太の照れ隠しだ。


「おまえが前にくれただろ。俺の試合前日に」


「ああ、うん」


「それ見て見ようみまねで作ったから、そんな変な形になったけど……」