キミの背中。~届け、ラスト一球~



11月に入ると、急に日が暮れるのが早くなりだしたような気がする。


夜の風も少しずつ涼しくなってきたので、あたしはスクールバックの中に入れていたカーディガンを羽織って家路を急いだ。


歩いてる最中も、舌が癖になってタンギングの練習をする。


薄暗い中、タカタカタカタカ。タタタタタタタ。と言っているんだから、すれ違った人は驚くと思う。


曲を口ずさみながら歩いていると、ウチの近くの月極め駐車場のブロックに腰かける影がうっすらと見えた。


その瞬間、ドクンと激しく心臓が高鳴る。


そ、草太……。


草太も肌寒いのか、制服の上に薄いセーターを着ている。


草太はあたしに気づくと、わざとらしく大きく息を吐いて空を見上げた。


「どうしたの?」


あたしが聞くと、草太は夜空を見上げたまま「別に?」と言う。


ピンと張られた草太の首で、喉仏が動く。


「寒いんでしょ?こんなとこにいないで早く帰れば?」


小さく出した自分の声が大きく聞こえる程、周りはとても静かだ。


「別に寒くはないけど」


草太が言うので、あたしはジロリと目を細めた。


「嘘だ。草太がセーター着るとか本当に寒い時じゃん。小さい頃からそうなんだからわかるし」