キミの背中。~届け、ラスト一球~



あたしは、今まで以上に部活に集中した。


学校に行くのは部活の為。


文化祭という小さなステージでの演奏だけど、久しぶりに演奏らしい演奏が出来るんだ。


アンサンブルはそれぞれの楽器の音色が生かされる分、高度な技術も必要になる。


『文明開化の鐘』はトランペットがメインになる曲で高音が多くてとても難しいけど、やりがいはある。


放課後、部活をしながら頭に浮かぶのは、中学の時に見てきたコンクールのステージ上からの客席だ。


他の学校の生徒達が自分たちの演奏を聞き入っている。


真ん中辺りには審査員がいて、あたしは顧問の指揮を見ながら心の中で『審査員よく聞いとけよ』と強気なことを思ったこともあった。


そんな大規模なものではないけど、またステージに立てるんだと思うと、体中の血が騒ぐ。


この曲はとてもリズムがいいので、タンギングの練習を主にやった。


ダブルタンギングとシングルタンギングを交互に吹き、舌の動きを安定させる。


タカタカタカタカ。タタタタタタタ。

タカタカタカタカ。タタタタタタタ。


これを何度か繰り返していると、本当にわけがわからなくなる時がある。


舌がこんがらがって、音程も安定しない。