キミの背中。~届け、ラスト一球~



「それでね、まだ新堂さんの意見聞く前だったけど、実は……」


長谷川さんは言葉を区切ると、コソコソと楽譜入れから一枚の楽譜を取り出した。


「曲、もう決めちゃった」


テヘっと可愛く笑う長谷川さん。


あたしも、おかしくなってプっと吹き出す。


「文明開化の鐘って曲。知ってる?」


「あ~、聞いたことはある」


金管八重奏の、トランペットの高音がとてもカッコイイ曲だ。


中学の時、アンサンブルコンクールで他の学校が吹いてたっけ。


「来年、コンクールへ出る為の第一歩だと思ってさ」


長谷川さんがあたしに楽譜を渡してくる。


それを受け取って見てみると、難しそうなリズムがズラリと並んでいる。


あたしも、この曲は好きだ。


ホルンやトランペットが会場中に響き渡る感じがたまらなく好きで、聞いてるだけで心がワクワクしてくる。


もちろん、断る理由なんかない。