「ホントすごいですね。
来年は自分達の番なんだなと思うと恐怖です」


あたしの言葉に陵雅さんが吹きだす。


「まぁ、今死ぬ気で勉強してるのはずっと部活一筋でやってきたヤツばかりだよ」


「へ~」


「俺もさ、部活に必死で、授業中は殆ど寝てたからな。そのつけが今来てる」


陵雅さんは口をへの字に曲げて肩をすくめた。


「新堂、今のうちから少しずつやってたほうが自分の為だよ。今、身を持ってそれを感じてるわ」


「うわ……。かなりリアルな忠告ですね」


あたしが言うと、「いや、マジで」と陵雅が困ったように笑った。


もっともっと話したいことはたくさんあったけど、貴重な時間をこれ以上取るわけにもいかなかったので、泣く泣く頭を下げて自分の教室に戻った。


受験勉強か……。


陵雅さんに忠告されても、正直まだ実感ないな……。


でも、陵雅さんがあんなに切羽詰まって勉強してるって事は、それだけ別れの日が近づいてるってこと……だよね。


はぁ……。

別れかぁ……。

もう5カ月を切ったもんね……。


3月なんて、あっという間にくるよね、多分。