陵雅さんは口を開けて笑い、ブラブラと揺らして小さな亀を眺めている。
その表情を見ただけで、あたしの心は癒された。
亀よりも陵雅さんの方が、何倍も可愛いです。
うっとりと陵雅さんを見ていると、「ちょっと待ってて」と教室に入って行き、スクールバックを持ってすぐに出てきた。
「いい感じじゃん?」
そう言って陵雅さんがスクールバックを持ち上げると、ファスナーに亀のストラップが揺れている。
「わっ!!付けてくれたんですね!陵雅さんってとても良い人!!」
なんて優しい人。
こんなに素敵な人またといないよ。
あたしが大袈裟に言うと、陵雅さんはハハハと声を出して笑った。
「あ、そだ。
陵雅さん、受験勉強は順調ですか?」
あたしが聞くと、陵雅さんは肩をシュンと落とす。
「順調じゃなきゃいけないんだけどさー、なかなかだよなー」
そう言って、苦笑する。
「みんな必死だよ。朝からカリカリカリってシャーペンの音しかしないからね」
教室の中を指差しながら顔を歪める陵雅さん。