「だけど、幼なじみっていうふたりの関係がさ、湯野くんへの気持ちにブレーキをかけてるんじゃないかなってたまに思う時があるんだよね」
幼なじみという関係で、気持ちにブレーキ……?
「違うと思うけど……」
あたしが呟くと、ミナは一段と声のトーンを下げた。
「希歩。しつこいかもしれないけど、湯野くん、モテるんだからね」
「………」
「この修学旅行で告白する子、多分たくさんいると思うよ。修学旅行って、カップル成立する大きなイベントでもあるんだからね」
「う~ん……」
あたしは枕に顔を押し当てて唸る。
「油断してると、他の子に取られちゃうかもしれないよ。後悔、しないようにね」
ミナは静かに言って、欠伸をしてあたしに背を向けた。
「おやすみ」
ミナの声が布団の中でこもって聞こえる。