キミの背中。~届け、ラスト一球~



マジか……。


せっかくの温泉なのに……。


「わかった。あたしも部屋のにするよ」


一旦部屋から出かけた体をまた中に戻すと、慌ててミナがあたしを止めた。


「え?何言ってるの!!ダメだよ。希歩は温泉行かなきゃ!!」


「え~だってミナも一緒じゃなきゃ」


ブスっと口を尖らせると、ミナはあたしの背中を押して部屋から押し出す。


「ちょ、ミナ!!」


「いいから希歩は行っておいで。わかった?」


ミナが人差し指を顔の前に出してあたしに言い聞かす。


「え……でも」


それでもあたしが躊躇うと、ミナは「あたしのことは気にしないで」と微笑んでドアをゆっくり閉めた。


あたしは閉まったドアとしばらく睨めっこしたあと、トボトボ温泉に向かう。


生徒の人数が多いため、時間を分けて温泉に入ることになっている。


あたし達のクラスが温泉に向かう頃には、他のクラスの生徒たちは気持よさそうな顔をして部屋に戻って行くところだった。