「……あ、うん。
言われてみれば、超ペコペコ」
あたしがお腹をさすると、草太は「よし」と言ってアスファルトの上からエナメルバックを肩にかけた。
「焼きうどんにすっかな」
「え?」
「母さん、今日夜勤だって」
そう言って、草太が「行くぞ」って顎で家の方をクイっと差す。
あたしはしばらく草太を見てから立ち上がり、小走りで草太の背中を追った。
草太の背中のエナメルバックが、街灯に反射してキラキラと光る。
仲直りの印に、焼きうどん作ってくれるの?
それとも、フラれたあたしの心を癒す為?
どちらでもいいけど、こういう草太の些細な優しさが、心にしみて涙が出そうになった。
よかった。仲直りができて。
やっぱり、草太が近くにいると落ちつく。
草太の焼うどんを食べて、また、いつものあたし達に戻ろうね。