草太の声が、しっとりと夜の闇に溶けていく。
こういう草太の声、落ちつくから好きだ。
チラリと横目で草太を見上げると、草太もあたしを見ていた。
ドキっとして、すぐに目を逸らしてしまう。
「落ちこんで帰ってくるかと思ってたけど、そうでもないんだ」
草太が小さく笑う。
「……ミナから聞いたの?」
「兄さんが帰ったあと、蒼井が俺んとこに慌てて来たよ。『キホが兄さんに告りに行った!』って」
ハハっと笑った草太は、夜空を見上げる。
「まぁ、よく頑張ったじゃん。ドンマイ」
「ドンマイって……。あたし、まだ結果言ってもいないのに」
あたしが膨れて言うと、草太は「ああ、そうか」と手を一発叩いて吹きだすように笑う。
あたしもつられて微笑み、唇を噛みしめながら俯いた。
「草太」
あたしが草太を見上げると、「ん?」と草太が眉を上げてあたしを見下ろす。
「ごめんね」