キミの背中。~届け、ラスト一球~



「きちんと離婚が成立すれば、実家のあるY県に引っ越すって母さんが言うんだよ」


……そんなことがあったんだ。


家庭に問題があるなんて、全くそんな風には見えなかった。


必死に隠してたのかな……。


辛い事だって、あったよね……。


「だから俺も、母さんと一緒にY県について行こうと思ってさ。ちょっと母さんのことが心配で。ずっと一緒に暮らすわけじゃないけど、大学入ってしばらくは向こうのばあちゃんと母さんと暮らすつもり」


そう言って、陵雅さんは口角を上げた。


「あ、マザコンだとか思った?」


陵雅さんがクスクスと笑う。


だけど、あたしは笑えなかった。


だって、無理して笑うことないよ。


親が離婚って、かなりショックが強いと思う。


今までも笑えないくらい辛いことがあったかもしれないのに、陵雅さんはいつだって爽やかな笑顔だったから、あたしは全く気づかなかった。


あたしはひとり、陵雅さんのことが好きだからって舞いあがって楽しんで……。


草太が言ってた、言えない理由って、これか……。


ごめん……草太……。