陵雅さんは驚いて辺りをキョロキョロしたあと、あたしに気づき柔らかく微笑む。
「なんだ、新堂か。突然大声で呼ぶからビックリしたじゃん」
この後に何が起こるか知らない陵雅さんは、いつものように爽やかな笑顔で靴箱に入ってくる。
「部活はもう終わったの」
陵雅さんに聞かれているのに、緊張が最高潮に達しているあたしは何の返事も出来なかった。
ダメだ……。
緊張で本当に吐いてしまいそう。
あたしはゴクリとつばを飲み込んで、太ももの横で拳を握った。
「あの!陵雅さん!!
県外の大学に行くって、本当ですか?」
緊張のあまり、声の強弱を調整できない。
あたしの勢いのある声に、また陵雅さんが目を丸めた。
「ああ、もしかして湯野から聞いたの?」
コクンと頷く。
本当はミナからだけど、ミナはたまたまふたりの会話を聞いただけだから、言わないでおく。
「どうして、県外なんですか?」