「草太、ちゃんとあいさつできたの?」
あたしの声が、車輪の音に絡まった。
「何?それが気になって待ってたの?」
「え?まぁ……」
あたしは口を尖らせて頷いた。
「あいさつくらいできるし。ただ、キャプテンになるプレッシャーがデカイだけ」
あたしは「プレッシャー?」と隣の草太を見上げる。
夕焼けのせいかそれとも試合で焼けたのか、草太の横顔が少し黒くなっているような気がした。
「キャプテンは嬉しいけど、兄さんのように部員をまとめられる力が俺にあるのかってさ」
草太が静かに微笑む。
「草太なら大丈夫だよ。今まで野球一筋でやってきたんだから。野球の情熱は誰にも負けないでしょ?それがあれば絶対大丈夫だよ!!」
あたしがガッツポーズを作って強く頷くと、草太は眉を寄せて笑った。
「ほんっとおまえってお気楽だよな~」
「は?なに?応援してるのに、草太はあたしをバカにするの?」
「バカにしてねぇよ。これ褒めたんだし」
フンと鼻で笑う草太。



