「兄さんが欲しいなら自分で動け。他に欲しいもんは?」
あたしはショボンと口を尖らせて肩を落とす。
改めて欲しい物を聞かれると……
「別に……ないかな」
欲しいものがパッと浮かばず苦笑して言うと、草太は高速で飲みきったジュースのパックをグシャリと潰して机からお尻をあげた。
「じゃあ、何もやらない」
「は!?ちょ、それ酷くない?ないって言われてもそこは隠れて準備しとくのが優しさってもんでしょ?」
あたしが吠えると、草太は「はいはい、そうですね」とケラケラ笑ってパックをごみ箱に捨てに行こうとした。
その時。
「湯野!!」
教室の前のドアから、あたしの心を満たしてくれる大好きな陵雅さんの声が聞こえて、あたしは口が裂けそうな笑顔で振り向いた。
陵雅さん!!
「ふごっ!!」
陵雅さんの元に一番に駆けて行こうと勢いよく席を立ったら、草太に頭をグイっと押され無理矢理着席させられた。
「兄さんは俺を呼んだの。おまえはとっとと飯を食え」
草太は顎を少し出して力んで言った後、軽く舌打ちをして陵雅さんのもとへ歩いていく。



