「希歩……あんた、なんちゅー顔してんのよ」
昼食時間、ジトーっと目を細めがら草太を見るあたしを見て、目の前に座るミナが頬を引きつらせた。
あたしはミナに返事をせず、次から次に女子に呼ばれる草太を見続ける。
横目に、ミナがあたしを見てから草太へ視線を向けたのがわかった。
「湯野くん、すごいよね。
試合終わってからずっと女子に囲まれてる」
ミナが感心するように言う。
そして、またあたしに視線を戻すとミナがニヤけた。
「なになに?
もしかして希歩、嫉妬?」
ミナが好奇心旺盛に身を乗り出してきたけど、あたしはずっと目を細めて草太を見ていた。
「信じられない」
「は?なにが?」
ミナが眉を寄せる。
「草太が女子にモテてるって、違和感あり過ぎる。
これは何かの間違いだ」
あたしの発言に、ミナが呆れたようにため息をつく。
「湯野くんは前からモテてたよ?あたし前にも言ったよね?湯野くん結構告られてるって」
ミナは鼻で笑うと、お弁当のブロッコリーをフォークでさした。
「そんなの知らない。あたし一度も見たことないもん」