キミの背中。~届け、ラスト一球~



あたしは楽器を片付けると、すぐに草太を探して走り回った。


バスで学校に戻る為、そんなに時間は取れないけど、どうしても草太の様子が気になったから……。


解散する人ごみでごった返す中、あたしは体を横にしながら前に進んだ。


きっと野球部も片づけを済ませ、バスに乗り込む頃だろう。


だけど、あたしは野球部のバスには向かわず出来るだけ人気の少ない場所を探した。


きっと草太は、人目の付かない所に、座り込んでいるはずだ。


ほらね。やっぱり。


球場から少し離れた場所にある、トイレの裏側。


黒のエナメルバックをコンクリートの上に置き、壁に背中を付け項垂れて座りこんでいる。


今までの体力作りのおかげで激しく息が切れることはなかったものの、少しだけ肩が上下した。


あたしの息遣いと足音に気づいた草太が、膝に埋もれた顔をのっそり上げる。


「何で俺んとこ来た?
ここは真っ先に兄さんとこだろ」


草太の横顔が、今更顔を出した夕焼けに染まる。


「野球バカの誰かさんが落ちこみ過ぎて泣いてるんじゃないかと思って」