スタンドにいる全員、同じ願いだと思う。
だけど、あたし達の願いはこの強い風に流されてしまったみたいだ。
3人目のランナーが出てしまった。
陵雅さんがすごく悔しそうに肩を落とす。
タイムがかかり、キャッチャーが陵雅さんの元に駆け寄る。
グローブで口元を隠し、何か会話をするふたり。
キャッチャーは陵雅さんの肩をポンポンと叩くと、また定位置に戻って来た。
雨が降りそうな天気だけど、空を見上げると眩しくて目を細める。
ツーアウト満塁。どうかこのままスリーアウトになりますように。
陵雅さんの視線が一層強まった気がした。
みんなの緊張は最高潮だろう。
落ちついて陵雅さん。
陵雅さんなら、絶対できるから!!
そう思いながらも、怖くて目を閉じてしまう。
風の音。
遠くから聞こえる、吹奏楽部と応援団の音。
そして、あたしの激しく高鳴る鼓動の音。
貧乏ゆすりをしながら、ギュッと強く手を握った。
その時――…。



