あたしは既に手に汗を握っていて、スカートで拭いとった。
『ピッチャー 旭くん』
アナウンスで陵雅さんの名前が呼ばれ、いよいよ始まる試合に息を飲む。
陵雅さんが、とてもキレイなフォームで第一球を投げた。
ストライクだ。
キャッチャーのミットに球が当たるスパーンいう音が、心地よく耳に届いた。
やっぱり、陵雅さんはすごい。
野球の才能があると思う。1年の時初めて陵雅さんを見た時にも思ったけど、野球に対する情熱が他の人とは違う気がしたんだよね。
陵雅さんが続けてストライクを取ってくれたおかげで、すぐに銀海高校の攻撃になった。
震える足を支え、立ち上がる。
つばを飲み込み、楽器をかまえた。
大丈夫。あたしはやれる。
隣の長谷川さんと楽器をかまえながら目を合わせ微笑み合い、すぐに顧問の指揮に目を向けた。
顧問が指揮棒を振ったと同時に、大きく息を吸い込む。



