「それを言うのは、まだ早いよ~」
長谷川さんが困ったように眉をハの字に垂らす。
「そーゆーのは、これが終わった後にしないと!!」
そう言って長谷川さんがプっと吹き出す。
ああ、そっか。
確かにまだ早いよね。
まだ自分の体力的に、最後まで吹けるかどうかもわからないのに。
早まった発言に苦笑すると、長谷川さんがグイッと拳を突き出してきた。
あたしは長谷川さんの拳に視線を落としてから、がっしり拳を作ってコツンとぶつける。
サイレンの音が響き、決勝の両校が向かい合って並んだ。
やっぱり一番に見つけたのは、帽子を取って頭を下げる草太。
その左横に陵雅さんがいて、あたしの鼓動は一気に高鳴った。
自分の人差し指くらいのサイズの陵雅さんでもキラキラと輝いて見えて、あいさつを済ませた後素早くベンチに戻り準備をする姿に、萌え死んでしまいそう。
肩を慣らした陵雅さんが、マウンドに上がる。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
大好きな人の姿を見た高鳴りと、これから始まる試合への緊張で鼓動がいつもの倍速になる。



