「いや、だって、雲の形くらいで、そんなに必死にならなくても」


笑いを堪え切れなくなったあたしは、その場でお腹を抱えて笑い転げた。


キレた草太があたしの体を蹴ったから、笑い転げる体がゴロンと横を向く。


笑い過ぎてお腹がつって、涙も出てくる。


あたしの笑い方がおかしかったのか、不機嫌そうにあたしを見ていた草太も一緒に笑いだした。


あたし達のケラケラとしたバカ笑いが、校舎に反射して空に昇って行く。


ひとしきり笑ったあと、呼吸を整えながらもう一度ソフトクリーム雲を見上げると、風で流された雲は形が変わり、ドロリと溶けてしまったように見えた。


いよいよ、明日は決勝。


そして、あたしの復帰の日。


今のこの空のように、部員全員の表情が晴れますように。


あたしは、草太言った鐘の形をした雲に、願いをかけた。