キミの背中。~届け、ラスト一球~



あたしの早口に、長谷川さんがポカンと口を開ける。そしてすぐにプっと吹き出した。


クククと、手を口に当て終いにはお腹を抱え出す長谷川さん。


「そんなに力んで言わなくても。
ククク……ハハハハ!!あ~、お腹痛い!!」


浮かんだ涙を拭く長谷川さんが、あたしを見て呼吸を整える為に大きく息を吐いた。


「ありがとう、新堂さん。
そう言ってもらえて、あたしすごく嬉しい」


あたしはううんと首を振る。


だって、それは本当に思ったことだから。


いつもこの空き教室でひとり練習をしてる時、隣から長谷川さんのトランペットの音色がスパーンと聞こえて来て、あたしはすごくワクワクしてたんだもん。


長谷川さんの音色は、人に元気とやる気と好奇心を与えてくれるの。


音楽で人の心を動かせるって、すごいことだから。


「あたし、今は吹部に入ってよかったなって思ってるの。
みんないい子達ばかりでがんばり屋だし。それに」


長谷川さんは椅子から立ち上がって、微笑みながらあたしを見下ろした。