キミの背中。~届け、ラスト一球~



放課後、すぐに音楽室に向かった。


まだマウスピースで音を操れないあたしは、合奏に参加せず個人練習させてもらっている。


楽器を握る前に、まずはマウスピースでドレミファソラシドを安定させなければいけない。


口の形だけで音を変えるのは、本当に難しい。


小学4年生の時、生まれて初めて楽器を触った時は、こんなに難しいとは感じなかったのに。


あの頃は、本当に純粋にトランペットが吹きたくて必死だったからだろうな。


今のあたしも、変なプライドや不安を捨てて、ただ純粋にトランペットを吹きたいと思わなきゃいけないね。


あたしは音楽室横の空き教室に入り、マウスピースを拭く前に唇をブルルと鳴らした。


鈍く唇を揺らせば低い音。


唇をピンと横に引けば、高い音。


それを少しずつ調節して、音を奏でる。


ピストンが3つしかないトランペットを吹くって、やっぱり不思議なことだ。