そのうち、泣き疲れて眠りそうになった雫を、


僕のベッドに連れていくととたんに


寝息を立てて眠ってしまった。


あや子叔母さんに事情を話すと、


病院に連絡を取り、雫の家に電話を入れてくれた。


今夜は、家に泊めると伝えると、雫の祖母は、


「ずっと家を出てた母親が、昨日事故で亡くなったんです。


こっちもごたごたしているから、


しばらく面倒見てやってくれないでしょうか。


すんません。すんません。」と何度も謝り、電話を切った。

 

 夕方、様子を見に二階へ上がると雫は起きていて、


ベッドの上で毛布に包まっていた。


声を掛けると、雫は僕に向かって手招きをした。



「手、握ってて。」


言われるままに、彼女の横に寝転び、左手をつなぐ。


すると、雫がまた泣き始めた。


僕に泣き顔を見せない様に、手をつないだまま、


壁の方を向いた彼女がいじらしくて、


後ろからそっと抱きしめる。


雫が小さく「ありがとう。」と呟いた。


彼女の身体は、柔らかくて小さかった。


そして、あたたかかった。