電車の中で、宗太の手紙をもう一度開く。


「裕人へ。


  突然こんなことになってごめん。


びっくりしてるよな。

俺、実はずっと学校に行きたくなかった。


(事情はもうわかってると思うけど)

相談しなくてごめん!


だけど、裕人とはずっと今までのまんまで遊びたかったからさぁ。


裕人が、今まで通りに接してくれてうれしかった。


ありがとう。


お前がこっち来たらまた、遊ぼう。


じゃあ、ばいばい!」


便箋二枚にでかでかと書かれた手紙を、


バッグにしまうことが出来なくて、


駅に着くまで何度も読み返して、その度泣けてしまった。


特急はがらがらに空いていたので、


僕はシートに沈み込んだまま涙を垂れ流した。




 駅に着くと、ホームで雫が待っていた。


あやこ叔母さんに、帰る時間を連絡しておいたから、


迎えに来てくれたのだろうか。


彼女は、腫れたまぶたの訳を何も聞かず、ただ


「おかえり。」


と言って笑った。